
第1弾では新事業進出補助金の制度概要と特徴を、
第2弾では補助対象要件やスケジュール・注意点を徹底解説してきました。
そして今回の第3弾では、いよいよ審査に通る事業計画書の作り方に迫ります!
補助金の採択率は、制度ごとに大きく変わります。
その差を生む最大の要因は、「事業計画書の内容」と「根拠ある数値」です。
新事業進出補助金も例外ではなく、申請の出来で“スタート地点”が決まります。
本記事で、「採択される申請書」を作るための重要ポイントを掴んでいきましょう!
事業計画書の審査項目
補助金の審査は、主に以下の6つの評価観点に基づいて行われます。それぞれの評価基準に対して、私個人の見解で100点満点で配点してみました。この配点を参考に、事業計画書を作成する際に、自分の事業がどれくらい点数を獲得できるかをチェックしてみましょう!
審査項目 | 審査ポイント | 記載の工夫 |
---|---|---|
① 新市場性・高付加価値性 (20点) | - 自社にとって新しい製品・サービスか - 新規顧客層へのアプローチ - 新市場売上構成比10%以上 - 製品・サービスの差別化や革新性 | - 「主力事業」との違いを図解や表で示す - 新市場が有望な理由を業界データやトレンドで裏付ける |
② 実現可能性 (20点) | - 実行体制(担当者・スケジュール)が具体的か - 資金調達見通し(自己資金・融資等)が明確か - 工程・スケジュールが現実的か - リスクと対応策 | - 体制図や工程表(ガントチャート)で役割と期間を明示 - 必要資金と調達方法を一覧表で裏付ける |
③ 収益性・持続可能性 (20点) | - 収益がどう改善されるか - 補助金終了後も事業が継続する構想があるか - 5年後の売上・利益計画が整合的か | - 財務計画をグラフや表で示し説得力を持たせる - キャッシュフローへの波及効果を補足し長期的な収益を示す |
④ 賃上げ・雇用拡大 (20点) | - 賃上げ目標が現実的かつ達成可能か - 新規雇用者数が期待できるか - 最低賃金+30円基準を満たしているか | - 賃上げシミュレーション表(前年比、単価、人数別)を提示 - 雇用スケジュールや求人戦略を記述 |
⑤ 地域経済貢献 (10点) | - 地域資源活用や地域企業との連携があるか - 地元雇用や地域課題の解決に結びついているか | - 地元商工会や支援機関との連携状況を具体的に記載 - サプライチェーンへの波及(例:地元製造業や農産物)もアピール |
⑥ 計画の整合性・明瞭性 (10点) | - 論理が通っているか、誤字脱字がないか - 他項目との整合性が取れているか - 抽象的・曖昧表現がないか | - 見出し・図解・箇条書きで整理して読みやすく - 「概要→根拠→数値計画」の一貫性を持たせる |
記載の実務ポイント
事業計画書を作成する際には、単に審査項目を満たすだけではなく、審査員に響くような構成が求められます。以下のポイントを押さえることで、審査員に強い印象を与え、採択の可能性を高めることができます。例文と共にご説明してきます。
1. 補助金制度の趣旨との合致を明記
補助金制度の目的に自分の事業がどのように貢献するかを明確に伝えましょう。
(例)「この補助事業は、新市場開拓を通じて地域経済の活性化と賃上げに貢献するものであり、本補助金の目的に合致しています。」
2. 補助対象事業としての適格性を整理
事業が補助金の対象として適格であることを冒頭で整理しましょう。特に、「新製品」「新市場」「売上構成比10%以上」などの要件に沿った内容を提示することが重要です。
3. 新規事業の有望性をデータで示す
新規事業の市場性や将来性を業界データやトレンドを用いて裏付けます。定量的な根拠を示すことで、事業計画に説得力が増します。
(例)「国内で年率5%成長する○○市場に対し、当社製品は××の差別化で優位に展開することができます。」
4. 定量的な根拠を数表で裏付け
売上見込み、利益率、投資回収期間などの具体的な数値を表やグラフで示すことで、計画の実現可能性をしっかりと裏付け、計画が現実的であることを証明することが必要です。
審査ポイントは「配点項目」だけでなく、補助金制度の趣旨や審査官の目線も意識して記載することが重要です。表面的な審査項目だけをカバーするのではなく、補助金の設計思想(趣旨や目的)を事業計画書に反映させることが、採択率を大きく左右します。
採択ポイント
■STEP1:まず「形式要件」で絶対に落とされない!
申請書における“最初の関門”が、形式要件です。
🔸クリアすべき最低条件
- 新規性(従来との違いが明確)
- 新市場(新しいターゲット層)
- 売上構成比10%以上(補助対象事業)
これらが図解・数値で見える化されていなければ、形式不備として即落選の恐れも。
さらに、
- 「2.5%以上の賃上げ」
- 「年平均4%の付加価値向上」
といった数値も根拠付きで必ず記載することが重要です。
■STEP2:「根拠なき夢物語」はNG!
審査員に最も嫌われるのが、“実現性なき希望的観測”。
🔸通る書き方のコツ
- 売上・利益計画に競合比較や市場背景を加える
- 顧客の声・事前受注見込みなどの裏付け
- 業界データ・成長予測の引用で説得力アップ
例:「国内○○市場は年率6%成長。当社製品は△△という差別化で優位性あり」
■STEP3:実現可能性は“見える化”せよ!
「どうやって実行するのか?」を図表や証拠で説明するのが基本です。
🔸アピール方法
- 組織図・ガントチャートで体制と役割を可視化
- 見積書・業者名の明示で導入計画に具体性
- 事業完了期限から逆算したカレンダーを添付
→ 「もう始動してるな」と思わせる構成がベスト!
■STEP4:加点要素を取りに行け!
審査員の「あとひと押し」は、加点要素です。
🔸狙える加点例
- 地域企業・商工会との連携計画
- 地域課題(人手不足、観光活性、脱炭素など)への波及効果
- 一般事業主行動計画の公表(独自性まで書くと◎)
■STEP5:過去の“落ちた例”から学べ!
成功のヒントは失敗の中にあります。
🔸避けたいNGポイント
- 他補助金との重複や使い回し案件
- 実績報告に対応できない“記録不足”
- 士業や支援機関によるダブルチェックなし
「見せ方」も含めて“採択されるコツ”は経験者に聞くのが一番!
まとめ
「新事業進出補助金」は、計画書と証拠主義の“両輪”で勝負が決まります。
採択への道は、形式要件を一つも外さず、実現可能性を“見える化”し、数値や根拠をもって、誰が読んでも納得できる内容に仕上げることが何より大切です。
申請は一発勝負。
だからこそ、事前の準備や細かな点検が、結果を大きく左右します。
- アイデアはあるが、どう書けばいいかわからない
- 実現可能性や数値の根拠に不安がある
- 審査員に“伝わる形”に仕上げたい
そんな方は、ぜひご相談ください。
一緒に、ベストな事業を練り上げ、補助金を最大限に活かしていきましょう!